自分でも驚くくらいに久しぶりの更新になっている当ブログ、皆様お元気でしょうか??
照樹堂は堺市にて元気に営業中です!
さてさて、しばらく更新していなかったブログなので何からお伝えしようかと迷っていますが、今回は新しく紙傘が入荷しましたのでそのご紹介をしたいと思います(^^♪
紙傘 紫蛇の目 入荷しました♪
何度かお問い合わせいただいて、その度に「現在在庫切れです」、と泣く泣くお断りせざるを得なかった紙傘の紫蛇の目。この度久しぶりに入荷できました。


紙傘 紫蛇の目 二本継 | 平田照樹堂 BASE店 (valleyin.base.shop)
価格は税込み価格で¥11,000円。
BASE店からのご注文だと、10000円以上のご注文で送料サービスのキャンペーン中ですので、お得に購入できるチャンスですよ~♪
円の直径、柄の長さともに約77cmほどで、舞台や御稽古でご使用いただける大人の標準サイズの紙傘になります。
現在は当店では1本通しの紙傘は基本的に取り扱っていませんので、柄の部分をクルクルと回して取り外し可能の二本継のみの取扱い。
持ち運びの時やどこかに送ったりする時には二本継のほうが扱いやすいので、多くのお客様にご好評いただいている品です。
中国製ならではのメリット、デメリット
数年前までは当店も国内の職人さんが作ってくれている紙傘を使っていましたが、職人さんの減少、原材料の大幅な高騰もあって、多くのお客様に提供するにはあまりにもお値段が合わなくなってしまいましたので、現在は傘に関しては中国製の商品になっています。
舞扇や小道具は、昔も今も国内の職人さんによる手作り、こだわりの一品です(^^ゞ
中国製というと少し遠慮がちになってしまうお客様もいると思います。
そこで少し中国製のメリットとデメリットをお伝えします。
これは照樹堂で20年近く働いている私自身の経験から現状を語っていますので、リアルな話と思って聞いてくださいませm(__)m
中国製のメリット
・とにかくお値段が安い
・1本からでも取り寄せやすい
・現在は作りも丈夫
もっと細かく言うと色々あるかもしれませんが、大きく感じるのはこちらの3つです。
とにかくお値段が安い
まずお値段についてですが、これはどの商品にも言えると思いますが、確実に国内生産の紙傘よりも中国製の方が安く入ります。数百円ではなく、数千円、絹傘に至っては万円単位でお値段は変わります。
今後よほどのことがおこらない限り、国内生産の舞踊傘が中国製よりも安くなることはないんじゃないかなと感じるくらいです。
これは購入をお考えの先生方やお客様にとって、最も購入意欲に直結する部分だと思います。
1本からでも取り寄せやすい
次に1本からでも入荷可能な点。
これはお客様には直接関係ない事情になりますが、どうしても国内の職人さんに1本のみの注文で作成をお願いすると、出来上がりの品を持っている時はいいのですが、在庫が0の状態だと、1本の注文の為にわざわざ1本だけで作成してもらうのは難しい時があります。
どうせ材料を使って作るなら、何本かまとめて作って卸したいというのが当然ありますので、何本かのロットで取り寄せることになります。
極端な例になりますが、1本の注文でもし10本ロットで取り寄せないといけない場合、当店が取り寄せてから9本の在庫をずっと抱えることになります。
数年前だとそれでも良かった(在庫を持っていてもしばらくすれば少しずつ売れていく)のですが、現在はなかなか紙傘も注文が通りませんので、在庫をあまり抱え込むのはよろしくありません^^;
ここまでいったらホラー話ですが、例えば青色の無地紙傘が1本注文があって10本ロットで発注をかけるとします。次に別のお客様からピンク色の紙傘が注文が1本通って10本ロットで発注をして、またべつのお客様から白色無地の紙傘が1本注文が入って10本ロットで発注…
子供が少し考えても分かるかもしれませんが、30本発注して売れるのは3本…。
長い目で見れば全て売れるのかもしれませんが、職人さんには売れても売れなくても先に30本分のお金を支払うので、こちらのお店としてはダメージがかなり大きくなります。
ただ、職人さんにも生活がありますので、ある程度の数をまとめて納めるのも頷けます。私が職人だとしても、次にいつ注文をもらえるかもわからないのに、材料を揃えて1本だけ作って納める…なんてのは効率が悪くて引き受けないと思いますし。
中国製の紙傘の場合は、国内に入ってきている時点で何本かまとめて入ってきていますので、必要な数だけ発注をすればその数だけで取り寄せることができます。もちろん実際の注文より少しは多めに発注はしますが^^;
そしてやはり気になるのはその完成度、クオリティですよね?
現在は作りも丈夫
”安かろう、悪かろう”
では使用する時に安心して使えませんΣ(・□・;)
私達も怖くてお客様の元にお送りしにくくなりますし…。
ですが、現在の中国製の傘はかなり作りも丈夫ですし、紙、持ち柄ともにしっかりした状態で入ってきます。
手に取っていただいたお客様ならご存じかと思いますが、舞台で使用していただくにも十分な完成度になっていることが分かると思います。
以前は紙に少しシワがあったり、サビのような汚れがあったり、裏面の糸がほつれていたり、柄の部分がゆるゆるだったりと、こちらに入荷して即B品扱いで、正規のお客様にお出しできないような品も多々あったりしましたが…^^;
現在ではそのような品はほとんどありませんし、発送前にチェックもしていますので安心してお買い求めいただけます♪
中国製のデメリット
そしてメリットだけでなく、デメリットを感じる点もありますので、そちらも正直にお伝えいたします。
・注文時期によって色ムラがある時がある
・在庫がなくなると入荷未定になる時がある
大きく感じるデメリットは上記2点。
注文時期によって色ムラがある時がある
これは中国製に限らず、どこで作られてもおこることでもありますし、何なら舞扇でも手拭でも、”色”を使う商品ならどんな物でも起こりえることです。
染料の具合や量などによって、微妙に色の違いが出てしまいます。
同じ赤無地の紙傘といっても、赤が濃かったり朱色に近かったり…。
当然紫蛇の目の紙傘においても、紫の部分が濃かったり薄かったり、そんなに目立って色の違いはないのですが、やはり同じ時に染めているものと違うと、若干の色の濃さはあったりします。
頻繁に必要な商品ではないのですが、困ってしまうのは、
「前に3本買って揃えたんだけど、もう一人お弟子さんが増えたからそのコの分も同じ傘を揃えたいのよ」
といったご依頼。
同じ時に染まった傘が当店や発注先にあればいいのですが、在庫が切れていたり、ちょうど別便で国内に入ってきた傘とかだと、微妙な色の変化があったりもします。発注先も照樹堂だけに販売しているわけではありませんので、
”この間いただいた傘と同じもので”
とこちらからお願いしても、100%同じ時のものかどうかはわからないと言われることも多々あります。
綿手拭を染めていただいている職人さんは、型番によって○番の色をこのくらいと○番の色をこのくらい使って…というようにしっかりと控えてくれているので、いつもほとんど同じ色の具合で上がってくるのですが、傘の場合はなかなか完全に同じ色というのは難しいのが現状です。
それでもほとんど同じ色で上がってはいますので、極端に気にされる場合でなければ大丈夫だと思います。
在庫がなくなると入荷未定になる時がある
そしてお客様が一番困る状態になるのが”在庫切れ”の時。
この状態は国内の職人さんだと連絡を取って、大体いつ頃に出来上がるかなどを教えてもらえますが、中国製の場合はそうはいきません(>_<)
仲介の業者さんに尋ねても、中国からの船便で送られてくるので、いつの船にどの傘がどのくらい入れてもらえるかはわからないと言われます。
コロナ時期に至っては、船がいつ入れるのかもわからない状態だったので、完全に入荷未定でお手上げの状態でした。
今でもはっきりとした入荷日は教えてもらえない時が多いです。大体の日は教えてもらえますが、その中に希望の傘がどのくらい入っているかは、入ってくるまでわからないと言われますし…。
連絡を直接取れる点では、国内の職人さんのほうが間違いなく安心ですし、予定も立てやすかったです。
本日のまとめ
いかがでしたでしょうか?
人によっては
「絶対メイドインジャパンじゃないと嫌!!」
という人もいてるでしょうし、お値段が格段に安くなって、出来上がりがしっかりとしているなら生産地はこだわらない方もたくさんいてると思います。
野菜や果物でも、外国産のものはたくさんありますし。
10年以上前だと、日本の職人さんにお願いして、たくさんの紙傘、絹傘を作っていただいて、在庫を多く抱えていても気にならないくらい商品が動いていたんですが…。
まとまった注文がなくなる ⇒ 職人さんに依頼する仕事がない ⇒ 廃業する職人さんが増える ⇒ 職人さんが減り、価格増 ⇒ 価格が高いと注文が通らない ⇒ 価格が上がる+注文が入らないと職人さんへの依頼もできない ⇒ ふりだしに戻る
このループは正直、もう私達ではどうすることもできないところまできています。
舞扇にしても傘などの小道具にしても、今まで作っていただいていた職人さんの何人かはすでに廃業してしまっているところもありますので、作れない商品も年々増えています。
そのうち、”日本”舞踊の商品のほとんどが外国産になってしまう日もきてしまうんでしょうか??
かく言う私も内心は思っているんですよ。
(日本の伝統芸能の舞踊ですし、やっぱり本当は国内の職人さんに気持ちをたっぷりと入れて作っていただきたいなぁ)
って。
ただ、なかなか厳しい現実ですし、寂しいですよね。
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